世界のトイレの使用方法!!

アンダマン諸島のスクワットトイレ

アジアから中近東アフリカなどにかけて広く分布している。日本の和式トイレのように、いわゆる「金隠し」があるタイプとないタイプのものがあるが、どちらかというとないタイプの方が多い。しゃがみこむという一点で共通しているものの、国ごとに形状が微妙に異なっており、果たしてどっち向きに座ったらいいのかいまひとつ判然としないタイプのものにもときどき出くわす。どちらにしゃがんでも用は足せるので問題ないといえば問題ないが、それが気になって用も足せないという人のために一言、とりあえずどちら向きにしゃがむかは、例えば足置きがある場合はその形状であるとか(当然ながら逆ハの字型となるのが正しいしゃがみ方)、尻を洗うためのシャワーの位置(シャワーが後ろに来るのが正しいしゃがみ方)などがヒントになるという点を指摘しておく。これらの点から見て、しゃがみ式のトイレを使っている国では、日本のようにドアを背にしてしゃがむだけではなく、ドアに向かってしゃがむケースも結構多いということが窺える。

 

 

便座なしの洋式トイレ

イタリアの便座なしトイレ

ヨーロッパでしばしば目にするトイレ(男性の大と女性用)は、形が洋式の便器に似ているものの、他の国で見かける便器よりずっと丈が低く、おまけに便座が付いていない(右の画像参照)。他人の肌が触れた便座を使うのを嫌うから便座を取り外しているのだそうで、使うときは中腰で用を足す。また、トイレによっては便座を付けることも可能なのだそうだ。ちなみに、外国人の出入りが多いホテルなどの施設はおなじみの形をした洋式トイレである。

なお、イタリアのこの種のトイレは、使用後に水を流すためのボタンが、思いがけないところ(背後の壁など)にあることが多い。

ニーハオ・トイレ

仕切りなどが全くなく、便槽の上に二列か三列くらい穴が並んでいる、あるいは用を足すための溝が数列並んでいる(そこを水が流れて行く)だけのトイレ。しゃがむ向きが決まっているわけでもなく、ときにお互いが顔を合わせて用を足すような格好になることから、俗に「ニーハオ・トイレ」などとも呼ばれている。今でも中国の地方都市や農村部などに行くと見られる(かつては北京のような大都会の、しかも天安門の近くのような中心街にもこのようなタイプの公衆便所が見かけられたが、さすがに今では見られなくなってきている)。使い方は簡単で、穴をまたいで(あるいは溝を背にして)しゃがみ用を足す、ただそれだけのことである。ただし、自分の周りで同じような格好をして用を足している人たちが丸見えという、日本ではまず想像もつかないような状況下で用を足さねばならず、慣れないとなかなか集中できないといううらみはある。

ちなみに、『びっくり世界紀行 トイレの歩き方』(トラベル情報研究会編、青春出版社)という本には、このようなトイレに入る対策として、新聞を持ち込んでそれを読みながら用を足すと、自分の目の周りにちょっとした仕切りができるため、意外と周囲の目も気にならず集中して用を足せる、といったアイディアが紹介されている。ついつい周囲に目がいってしまう故に集中力が散漫になるという点は確かに当たっているし、慧眼ともいうべきアイディアである。中国を旅行しているときにこのようなトイレを使う状況に遭遇したら、一度試してみてはいかが?

 

海外の後始末の仕方編

紙で拭く

最近は洗浄機付きトイレに押されてきているとはいえ、日本では依然としてごく一般的な処理の仕方なので、これについてここで多くを語る必要はないであろう。一点注意するとすれば、ロシアなど一部の国のトイレットペーパーは厚くしかも硬い紙でてきていることが多く、そのまま使うと尻を痛めるので、ペーパーをよく揉みほぐしてから使ったほうがよい、ということくらいか。

[編集]ビデを使う

ヨーロッパ、特に中部から南部の地方でよく見かける局部を洗うための器具で、大抵はトイレの横に並んで設置されている。形状は洋式トイレの便器にどことなく似ているが、水とお湯を出すためのハンドルが2つ付いており、洗面台のように水(お湯)をためることができる。先に貯めておいた水なりお湯で局部を洗うのが基本的な使用形態だが、昨今では斜めに付いたノズルから直接洗いたい部分に水なりお湯をかけることができるようなものもある。これを使う際ちょっと曲者なのがハンドルに表示されている"C"と"F"の文字。"C"を"Cold"だと思ってそちらを先にひねる人が結構いるが、実際はそれぞれフランス語の"Chaude" (熱湯) と"Froid" (冷水) の略であり、"C"は水ではなくてお湯の方のハンドルになる。それと知らずにCの方を思い切り先にひねると、勢い良く飛び出したお湯で火傷をする(そこまで行かなくてもかなり熱い思いをする)ことがあるので注意されたい。

[編集]シャワーで洗い流す

ドバイ空港のトイレ

便器の横に、用を足した後の尻などを洗い流すための小型のシャワーが付いているもので、特にイスラム圏の国に多い。ホースの付け根に水道栓のハンドルが付いているのでそこを回すものと勘違いするが、ハンドルをいじっても水は出てこない。水を出す場合は、シャワーの先端に付いているレバーをちょうど消火器を使うときのように握る。日本のウォシュレットのように温水が出るなどの気の利いた機能はなく、大抵はただの水で、しかもほとんどの場合、水流の強さが全開で固定されている。何の予備知識もなくいきなりレバーを握ると大抵の場合は思わず飛び上がってしまうので、くれぐれも注意されたい。

なお、北欧など洋式便所が一般的な一部の地域で、このシャワー設備用の水を、手洗い用の流しの蛇口付近からホースで引いている形式のものを時々見かけることがある(特にユニットバス形式になっているホテルのトイレなど。もともとこのような習慣がなかったところに何らかの理由(中東からの移民の増加とか?)でシャワーが普及したため、後になって少々無理に取り付けたような感がある)。

このタイプのシャワーの場合、あらかじめ水道の蛇口を開けておかないと、いくら手元のレバーを握っても水が出ないので、注意が必要である。

 

柄杓で水を汲んで洗い流す

インドなどの南アジアや、東南アジアの国々に多いが、トイレットペーパーやシャワーなどといった気の利いたものはなく、単に水を貯めた桶とコップなり柄杓が置いてあるだけ、というトイレもある。コップなり柄杓で水を汲んで、洗い流したい部分に水をかければいいのだろうということは容易に想像が付くが、実際やってみると、なかなか思い通りのところに水を届かせることができず、うまく洗えない。これについての正確な知識は今もって不明(※)だが、いろいろと試行錯誤の末身に付けた洗い方を参考までに紹介すると以下のとおりである。

  1. 手のひらを上にして股の前から手を入れ、洗い流したい局部の下あたりに手を持ってくる。
  2. 尾骶骨を伝わせるような要領でコップ(や柄杓)から水を流す。すると下に構えている手の平に一旦水がたまる格好になる。
  3. そろえた手の指を動かし、手のひらにたまった水を跳ね上げるような格好で局部にふりかけながら指で洗う。

(※)この点について、上に紹介した『びっくり世界紀行 トイレの歩き方』の中では、右手にコップや柄杓を持ち、左手の平で水をすくって「後ろから」肛門に水をかけ指で洗うのが正式な作法であるとしている。

実際は現地でも人によっていろいろなやり方があろうし、要は自分がしやすい方法で洗えばいいだけのことである(ただ、物理的な制約から見ても、大体上に述べたようなスタイルに集約されるのではないかと思われる)。なお、洗うほうの手は左手のみを使う、というのはこのようなスタイルを取る地域全体での徹底したルールであり、このことが、握手や素手で食べ物を食べるとき左手を使うことをタブー視することの基底になっていることは言うまでもない。

トイレを使用する際の注意事項

[編集]トイレットペーパーの処理

トイレットペーパー投入禁止のサイン (ポルトガル)

  • アジア諸国をはじめ、世界の国々の中には、トイレットペーパーをそのまま便器に流せない国が多い。これは、そもそも下水などのインフラが貧弱で、流下能力が低いため便器に流すと管をつまらせてしまう、紙そのものが水溶性のものとなっていない、また、タイなどのように、トイレの管路の先端が竹籠のような形状をしており、流した物を土中に自然に浸透させるような構造になっているため、紙を流すとその籠の部分が目詰まりを起こしてしまう、等々の理由によるものである。いずれにしろ、少なくともアジア諸国では、日本のようにトイレットペーパーをそのまま便器に流せるのはむしろ少数派と考えたほうがよい。では用済みの紙の処理をどのようにするかが問題となるが、これを見極めるための比較的わかりやすいサインがある。つまり、トイレットペーパーを流せない国(なり施設)の便器の横には、必ず大きめの屑篭が置いてあるのである。空港とか駅あるいは宿泊先のホテルの部屋とかいった場所のトイレでそのような屑篭を見つけたら、まず間違いなく「トイレットペーパーを便器に流すな」というサインだと考えてよい。
  • 大自然に囲まれたような辺鄙なところでは、時として、人目につかないところに穴を掘って、あるいはそこら辺の茂みに隠れて用を足すということがある(このような行為を指して「キジを撃ちに行く」あるいは「お花摘みに行く」などと表現することがある)。このような、いわゆる「野グソ」に触れた本の中には、その際のエチケットとして、後始末に使ったトイレットペーパーはライターなどで燃やしてしまうこと、というような内容が書かれているものもある。出したものだけなら周りの風景にどことなく溶け込んであまり違和感はないと言えるモノが、そこに白い紙が付いているだけでいきなり現実を目の前に叩きつけられたような光景に変わるのも確かで、だからこそ、そのようなエチケットが言われているのも合点が行く。ただしこういったルールもやはりケース・バイ・ケースであろう。というのもそうでない実例をまのあたりにしたことがあるからである。かつて訪れたとある国では、観光客が食事を取る場所の近くにトイレがなく、「レストラン」近くの枯れ草の茂る一帯がその役割を果たしていたが、そこでは、「トイレ」とされるエリア一帯に使用済みのトイレットペーパーが散乱していた(もっとも、こんなところで律儀にトイレットペーパーを燃やそうとして野火にでもなったら、むしろそちらの方が大変だ)。

[その他 雑学 有料トイレなど

欧州では、不特定多数の人が利用する施設のトイレや公衆トイレは有料の場合が多い。 係員に支払うものから、ゲートやドアに硬貨を投入するもの、さらには専用のプリペイドカードやICカードが使えるハイテクなものまである。 有料トイレは日本ではなじみが薄いので、抵抗を感じる面もあるが、有料にすることで清潔さや治安が保たれていると考えればある程度納得できるのではないだろうか。 いずれにせよ、常に適量の小銭を用意しておくべきである。

有料トイレだからといって安全かつ快適に利用できるかというと、国によっては必ずしもそうでないケースがあるので注意が必要である。例えばロサンゼルスのダウンタウンにあるマクドナルドなどでは、ホームレス対策としてトイレが有料になっており、ドアを空けるためにコインを投入する形式となっているものの、実際に使おうとするとまさにそのホームレスが中の洗面所で体を拭いていたりする(最初の一人がコインを投入して入り、他の仲間のために中からドアを開けてあげるらしい)。

 

 

 

本当にトイレ事情は世界それぞれありますから、しっかりとルールを守り使用しましょうね。